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Why?アメリカンピーポー?コロナ禍でED薬を爆買

[2022.02.22]

みなさん、毎日のお仕事お疲れ様です。
神戸三宮バッファローEDクリニック院長です。

今回は、コロナ禍にも関わらずアメリカでED(勃起不全)薬が飛ぶように売れていることについて解説します。

私は、現役で内科診療に携わりつつ、ED治療に完全特化したバッファローEDクリニックの院長をしています。
当ブログでは、海外論文の解説形式で男性性機能の最新ネタをお伝えしています。
最後に、日々のED診療の経験を踏まえた院長的考察を載せています。
どうぞお楽しみ下さい。

◆もくじ◆
コロナ禍で性生活の満足度は低下している
米国でED薬が飛ぶように売れている
アメリカ人がED薬を爆買いするワケ
院長的考察①コロナ流行以前のED薬の売上動向
院長的考察②シアリスの無限の可能性

コロナ禍で性生活の満足度は低下している

コロナ禍による自粛生活が継続していますが、皆さんは現在の性生活に満足していますか?
外出する機会が減り、性行為の頻度が減っている方もおられるのではないでしょうか。
コロナ禍の性生活の満足度低下を示す調査結果は、世界中で見つけられます。

 

【イタリア】
254人(平均39歳)を対象とした研究で、参加者の30%に性行為の回数減少を認めた。
Schiavi MC, Spina V, Zullo MA, et al. Love in the Time of COVID-19: Sexual Function and Quality of Life Analysis During the Social Distancing Measures in a Group of Italian Reproductive-Age Women. J Sex Med. 2020;17(8):1407-1413. doi:10.1016/j.jsxm.2020.06.006

【トルコ】
245人(平均36歳)を対象とした研究で、参加男性の約10%に性生活の満足度低下を認めた。また、参加男性の約8%に新たにEDの症状が現れた。
Karagöz MA, Gül A, Borg C, et al. Influence of COVID-19 pandemic on sexuality: a cross-sectional study among couples in Turkey. Int J Impot Res. 2020;33(8):815-823. doi:10.1038/s41443-020-00378-4<

【中国】
3500人(平均27歳)を対象とした研究で、参加者の41%に性行為の回数減少を認めた。また、参加者の31%にパートナーとの関係悪化を認めた。
Li G, Tang D, Song B, et al. Impact of the COVID-19 Pandemic on Partner Relationships and Sexual and Reproductive Health: Cross-Sectional, Online Survey Study. J Med Internet Res. 2020;22(8):e20961. Published 2020 Aug 6. doi:10.2196/20961

 

米国でED薬が飛ぶように売れている

世界中で、性生活の満足度が低下していますが、米国でバイアグラを始めとするED(勃起不全)薬が非常に売れているという趣旨の論文を見つけました。

 

 

調査期間:2018年1月~2020年10月
調査場所:米国
調査方法 :IQVIA社の協力も元、米国内約90%の医薬品購買記録を調査
調査内容:バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)、アバナフィルの処方数
※アバナフィルは厚生省未承認のED薬

<グラフの説明>
黒色線:全てのED薬の売上高の合計の推移(バイアグラ+レビトラ+シアリス+アバナフィル)
青色線:シアリス(タダラフィル)の売上高の推移
赤色線:バイアグラ(シルデナフィル)の売上高の推移

調査期間において、ED薬の売上高の大幅な増加を認めます。

特に、2020年3月のWHOパンデミック宣言後からの増加は著明です。2020年12月のED薬の売上数(24,324,258錠)は2020年2月(14,576,724錠)の67%増加です。

コロナ禍での性生活の満足度低下が嘆かれる中、とても意外な結果ではないでしょうか。自粛生活が続く中、なぜED薬が売れるのでしょうか。

アメリカ人がED薬を爆買いするワケ

論文内に掲載されている下記のグラフに、アメリカ人がED薬を爆買いする理由が隠されています。

<グラフの説明>
シアリス(タダラフィル)2.5mg錠、5mg錠、10mg錠、20mg錠それぞれの売上高の推移

グラフは、シアリス5mg錠の大幅な売上高の増加を表しています。2020年12月のシアリス5mg錠の処方数は、2020年2月の処方数の+85%増でした。一方、その他の規格(2.5mg錠、10mg錠、20mg錠)の処方数は大きな変化を認めません。

シアリス5mg錠の売上高だけが増えている理由は、シアリス5mg錠を毎日服用する人が増えているからです。通常、ED薬は性行為前に服用するのが一般的です。性行為の有無に関わらず、毎日シアリスを服用しても大丈夫なのでしょうか。どういったメリットがあるのでしょうか。

シアリスを毎日内服する効果について、下記の論文で詳しく説明されています。

 

 

「毎日シアリスを内服するグループ」と「行為前にシアリスを内服するグループ」を比較検討されました。研究の結果、シアリスを毎日服用することの驚くべきメリットが発見されました。

シアリスを毎日内服することのメリット

ED(勃起不全)の改善率が高い傾向がある。

副作用(火照り、動悸、頭痛など)が少ない傾向がある。

このような研究結果があり、米国ではシアリス5mgを毎日服用する人が増えています。その結果、シアリス5mg錠の売上高が大きく増加していると考えられます。

院長的考察①コロナ流行以前のED薬の売上動向

もう一度、グラフを見てみましょう。

よく見ると2018年1月から徐々にED薬の売上高が上昇していることが分かります。
コロナ禍と関係なく、ED薬の需要は年々増加傾向なのです。

かつて、バイアグラは「危険な薬」だと誤解されていました。
1997年7月にバイアグラ使用後に死亡事故がありました。

死亡事故が起こった原因は、バイアグラとニトログリセリンを一緒に服用したからです。バイアグラとニトログリセリンを一緒に内服することは強く禁止(併用禁忌)されています。

バイアグラは医師が処方する医薬品です。しかし、死亡した男性は友人からバイアグラをもらい、バイアグラに関する正しい教育がされず、誤った服用をしていまったのです。

メディアは、この誤った服用方法を十分に説明しなかったので、「バイアグラは死ぬ恐れのある危険な薬」「バイアグラは心臓に悪い薬」といった誤解が一気に広まりました。

しかし、20年以上の時間が経過しました。

この誤解は徐々に消え、年々ED薬を愛用する人が増えてきています。

コロナ禍以前からED薬の需要が高くなっているのは、こういった背景があると考えます。

院長的考察②シアリスの無限の可能性

シアリスは世界中で人気のED薬で、現在シェアNo.1です。
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/news/news.php?id=264

シアリスの主なメリット

・空腹時に服用する必要がない。
・副作用が少ない。
・効果の持続時間が36時間と長い。

こんなメリットが多いシアリスですが、唯一の弱点があります。

それは、効果発現まで1−2時間と長いことです。
男女の仲のイレギュラーな状況に対応しにくいという問題がありました。ところが、シアリスを毎日服用することで、この弱点は克服されました。

さらに、毎日内服すると、ED改善効果も高く、副作用も少ないというデータもあります。
シアリスを毎日内服すれば、予想外の状況に慌てることなく、どんな時でもシアリスの効果を実感できるでしょう。

よくある誤解ですが、ED薬が効いている時間はずっと勃起しているわけではありません。
ED薬の役割は、性的興奮を感じた際に勃起するサポートをすることです。決して、性的興奮有無に関わらず持続的に勃起するわけではありません。

シアリスを毎日内服する上での注意点

・金銭的な問題
・研究が途中段階

シアリスを毎日内服すれば、もちろん金銭的な追加のコストがかかります。(当院であれば、18,000円/月です。

また、シアリスを毎日服用することの研究は始まったばかりで、データはまだまだ不十分です。今後、さらなる研究が求められます。

以上、米国でED薬が売れていることを説明し、その理由がシアリスを毎日服用する人が増えていることを説明しました。

院長的考察では、シアリスを毎日内服するメリットと注意点を中心に解説しました。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

 

参考文献

Hernandez I, Gul Z, Gellad WF, Davies BJ. Marked Increase in Sales of Erectile Dysfunction Medication During COVID-19. J Gen Intern Med. 2021 Sep;36(9):2912-2914. doi: 10.1007/s11606-021-06968-2. Epub 2021 Jun 25. PMID: 34170453; PMCID: PMC8229258.

Meta-Analysis of the Long-Term Efficacy and Tolerance of Tadalafil Daily Compared With Tadalafil On-Demand in Treating Men With Erectile Dysfunction https://www.smoa.jsexmed.org/article/S2050-1161(19)30065-0/fulltext#.YhTI49vR3PI.sinaweibo

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